トップページ > 各科の紹介 > 乳腺腫瘍外科の紹介

乳腺腫瘍外科の紹介

乳がん検診とは

 がん検診の目的は、自覚症状が出る前にがんを早期発見し、早期治療することにより、そのがんによる死亡を減らすことです。とくに乳がん患者は近年増加しており、死亡者数も増加傾向にあります。乳がん対策は急務と言えるでしょう。(図1)
左:部位別がん年齢調整罹患率の推移[女1975年〜2005年]グラフ 右:部位別がん年齢調整死亡率の推移[女1958年〜2009年]グラフ

(図1)

 乳がん検診も乳がんによる死亡を減らすことを目的に行われています。乳がん検診にもいくつかの方法が考えられますが、重要なことは検診が有効であるということです。がん検診の効果の有無を判断するためには、検診を受けたグループと受けなかったグループを比較し、検診を受けたグループでそのがんによる死亡率が低ければ、検診は効果があるといえます。
 日本では乳がん検診の効果を検討した大規模な比較試験は行われていませんが、欧米の信頼できるデータを総合すると、視触診のみによる乳がん検診は効果がなく、マンモグラフィーによる検診は、40歳以上の女性については効果があることがわかりました。日本でも以前は視触診のみによる乳がん検診を行っていましたが、上記の研究結果を踏まえ、2004年に厚生労働省は、40歳以上の女性に対し、視触診にマンモグラフィーを加えた乳がん検診を行うよう指針を出しました。現在は、こうした形の乳がん検診を2年に一回受けることが推奨されています。ただ、日本では乳がん検診の受診率はまだまだ低く、全国平均でも20パーセントくらいで、これは欧米諸国と比べ、かなり低い数値です。(図2)乳がんの死亡率を減らすために、多くの方に乳がん検診を受けていただきたいと思います。受診者が増えれば、乳がん検診の効果もおのずと明らかになると思われます。

50〜59歳のマンモグラフィー検診の受診率(グラフ)
(図2)

 

 がん検診には一次検診と二次検診があります。一次検診は異常のあるものを選び出す(スクリーニングといいます)もので、一般的にがん検診と言っているのは一次検診です。二次検診は一次検診でスクリーニングされた人に対する精密検査のことです。乳がんの場合、一次検診の手段は視触診とマンモグラフィーが主体であり、二次検診では超音波検査や穿刺吸引細胞診、針生検などが主なものです。

業務内容

一次検診

 集団検診:市町村などと契約し、乳がん検診を行っています。視触診とマンモグラフィーを行うことが一般的です。

個人検診

 個人の希望により検診をおこなっています。外来での検診と日帰りがんドック(レディースコース)があります。視触診とマンモグラフィー、超音波検査を行うのが普通です。費用は原則自己負担となります。

精密検診・一般外来

 一次検診で精密検査が必要とされた方、または経過観察が必要とされた方に対し、診察と必要な検査を行います。他院で一次検診を受けられた方にも対応しています。超音波検査を行い、必要な場合は、穿刺吸引細胞診、針生検、マンモトーム生検などを行います。

 乳房の自覚症状がある方や、他院で異常を指摘され紹介された方などを診察し、必要な検査を行います。また、経過観察が必要な方に対し、定期検査も行っています。

他院への紹介

 当施設は検診センターなので、治療は行っておりません。検査の結果、乳がんをはじめとした治療が必要な病気が見つかった場合は、治療が可能な病院を紹介します。隣接する多摩総合医療センターへの紹介が最も多いですが、希望があれば他の病院もご紹介します。

検査内容

マンモグラフィー

 検査法などについては放射線科のページをご参照ください。
 触ってもわからない乳がんは珍しくなく、とくに早期の乳がん(非浸潤癌)ではマンモグラフィーにおける石灰化のみが有意な所見である場合があります。石灰化をとらえる能力はマンモグラフィーが優れています。ただ、若く乳腺組織が豊富な方にはあまり有効ではないこと、小さなしこりは描出しにくいなどの問題点があります。

乳がんのマンモグラフィー(左乳腺の腫瘤と石灰化)(写真)
図3:乳がんのマンモグラフィー(左乳腺の腫瘤と石灰化)

超音波検査

 超音波を当てて形態を見る検査は、心臓や腹部、婦人科領域などで広く行われ、乳腺に対しても行われています。比較的小さいしこりを描出しやすいこと、若い方にも有効であることなど、マンモグラフィーにはない特性があります。反対に、石灰化の描出はあまりよくありません。マンモグラフィーに超音波検査を追加すれば、より正確に診断できますが、一次検診に適用するのは、コストや限られた検査スタッフを考えると妥当とは言えません。当センターでは二次検診や個人検診の際に行っています。しこりの種類によっては、超音波検査のみで確定診断できるものもあります(嚢胞など)。

 

乳がんの超音波(写真) 
図4:乳がんの超音波画像

穿刺吸引細胞診

 しこりの良悪性については触診や画像検査で大体は鑑別できますが、最終的には細胞や組織レベルでの診断が必要です。触診や超音波検査でしこりを認め、悪性の疑いがあるものに対し穿刺吸引細胞診を行います。しこりに注射針を刺して注射器で吸引し、細胞を採取し、調べます。しこりを触れなくても、超音波で描出できれば、超音波の画面を見ながら針を刺すことができます。

針生検

 しこりの種類によっては注射用の細い針では診断に足るだけの十分な組織が取れない場合があります。また、乳がんで手術前にホルモン療法を行う可能性がある場合は、ホルモンの感受性を調べるためにやや大きめの組織が必要となります。このような場合は、やや太めの専用の針を用いて組織を採取します。

ステレオガイド下マンモトーム生検

 マンモグラフィーで悪性を疑う石灰化がみられるが、触診や超音波検査でしこりが認められないことがあります。この場合、上に述べたような、穿刺吸引細胞診や針生検はできません。こうした場合は、マンモグラフィーを異なる方向から撮影して石灰化の位置を特定し、そこからマンモトームという器具を用いて組織を採取します。

おわりに

 乳がんの早期発見、早期治療のために、マンモグラフィーによる検診が有効ですが、受診者はまだまだ少ないのが現状です。受診方法がよくわからないのも一因かもしれません。自治体の広報やホームページをチェックしたり、地域の役所や保健所に問い合わせれば、受診方法はわかります。できるだけ多くの方に乳がん検診を受診していただきたいと思います。


トップに戻る